WordPressプラグインのHello Dollyとは?
- hello dollyがなぜ入っているのか知りたい
- hello dollyは何か役割があるの?
WordPressを初めて使用した人が、まず疑問に思うのが「Hello Dollyプラグイン」ではないでしょうか。WordPressにデフォルトで入っているのに、なぜ入っているのかわからない。そんなプラグインがHello Dollyです。
Hello Dollyプラグインについて、内容や歴史、そして役割を解説します。
最後にHello Dollyプラグインを利用し、プラグインの構造を学べます。
目次
Hello Dollyとは
Hello Dollyとは1964年に発表された、アメリカのミュージカルのタイトルです。マイケル・スチュアートがミュージカルの脚本を執筆し、ジェリー・ハーマンが作詞作曲を行いました。
大変な大ヒット作品だったようで、トニー賞で10部門を独占状態で受賞し、その記録は37年間も破られませんでした。ブロードウェイで4回も再演され、アメリカのミュージカルを代表する演目だったそうです。
そんなHello Dollyの歌詞をWordPressダッシュボードに表示するのが、Hello Dollyプラグインです。
現在のWordPressのバージョンは5です。WordPressがまだ初期の頃のWordPress1.2で初めてプラグイン機能が実装され、そのときにリリースされたのがHello Dollyプラグインです。最初期のプラグインの1つが、Hello Dollyでした。
WordPress0.7が初めてリリースされたのが2003年であり、その翌年のWordPress1.2でプラグイン機能が実装されました。WordPress1.2のコードネームはミンガス(Mingus)ですが、WordPressのコードネームはジャスミュージシャンにちなんで行くことになります。
こういった経緯もあり、とかく音楽と関係するWordPressのデフォルトプラグインとして、ミュージカルの代表作であるHello Dollyが入っているのは、わりと自然な流れなのかもしれませんね。
ちなみにHello Dollyプラグイン、1年前にも更新されていたりします。
Hello Dollyは何をするプラグイン?
ではHello Dollyプラグインは、何をするプラグインなのでしょうか?WordPressが初めてで、デフォルトのままこの記事を見ている人はともかくとして、WordPressに慣れてHello Dollyプラグインを削除してしまっている人には、どんなプラグインだったか思い出せないのではないでしょうか?
実際に、Hello Dollyプラグインの説明文を引用しましょう。
これは単なるプラグインではありません。Louis Armstrong が歌った最も有名な二つの単語「Hello, Dolly」に要約された、世代全体の希望と熱意を象徴しているのです。このプラグインを有効化すると、すべての管理画面の右上に Hello, Dolly からの歌詞がランダムに表示されます。
アートワークを提供してくれた Sanjib Ahmad に感謝します。
そう、このプラグイン……ダッシュボードの右上にHello Dollyの歌詞を表示するというだけのシンプルなもの。
それが何の役に立つのかって?お刺身パックを買ったときについている、プラスチックのタンポポを見て「これが何の役に立つのか?」とは聞きませんよね。Hello Dollyも、お刺身のタンポポと一緒ですよ。
Hello Dollyでプラグインの仕組みを学ぶ
Hello Dollyは役に立たないプラグインと言いましたが、プラグインの仕組みを初心者が学ぶためには良い教材かもしれません。なぜならとても基礎的な部分だけで、Hello Dollyプラグインは作られているからです。
1ファイルでできるプラグインの仕組み
じつはHello Dolly、たった1つのファイルから作られています。以下の画像をご覧ください。
1つはreadme.txtですから、プラグインの説明書きのファイルです。hello.phpがHello Dollyプラグインの本体です。中身を見ていきましょう。
- function hello_dolly_get_lyric()
- function hello_dolly()
- function dolly_css()
上記3つの関数が、Hello Dollyプラグインの内容です。hello_dolly_get_lyric()で歌詞をランダムに取得して、hello_dolly()で表示し、function dolly_css()でCSSを整えてデザインしています。
アクションフックとフィルターフック
Hello Dollyプラグインの関数は、そのままでは実行されません。WordPressでは関数を実行するタイミングを指定する、アクションフックとフィルターフックという方法があります。
アクションフックは簡単に言えば、WordPressがする動作を起点として関数を実行します。「テーマが読み込まれたとき」「PHPの処理が終了する直前」など、様々な種類のフックがあります。
フィルターフックは表現が難しいのですが、WordPress本体やプラグインが何らかの動作をする際に、その動作に変更を加えることができます。
Hello Dollyプラグインの場合は以下のように、どれもアクションフックを使用して関数を実行しています。
add_action( ‘admin_notices’, ‘hello_dolly’ );
PHPを学んでプラグインを作ろう
WordPressのプラグインは、PHPができる人にとってはハードルが高くありません。もちろん作ろうとするプラグインによって、難易度は異なってきます。
検索すればWordPressでは、求める機能を持ったプラグインが大抵は見つかります。しかし完全に自分の求める機能を持ったプラグインというのは、なかなかありません。
例えばWordPressでよく使用されるSNSシェアボタンプラグインですが、日本でははてなブックマークに対応しているほうがベターでしょう。しかしSNSシェアボタンプラグインで、はてなブックマークに対応したものは3つだけです。
そこからさらにSNSシェアボタンがボトムやサイドに固定できるものは、2つに絞られます。しかし突き詰めると色々と入りすぎていて、動作が重いなど欠点も見えてきます。
やはり自分でプラグインを作ったほうが、使用目的と機能を限定できる分、軽く最適な機能のみを持たせられます。Hello Dollyプラグインは非常にシンプルですが、プラグインの仕組みを学ぶのに最適な教材と言えます。使用されているPHPも、基礎的な関数ばかりです。
WordPressを利用する人の99%以上がHello Dollyを削除
歴史的な名曲であるHello Dollyの歌詞がダッシュボードに表示される、そんな素敵なHello Dollyプラグインですが……WordPressをインストールした直後に削除される運命にあります。Hello Dollyプラグインを削除せず、なおかつ有効化している人はまずいません。
ちなみにプラグインエディターからHello Dollyを編集し、歌詞を好きな歌に変えることも可能です。一度試してみてはいかがでしょうか。