AWSソリューションアーキテクトの基本から試験攻略まで徹底解説
AWSを普段から業務で活用していて、
「自分の実力はもっとあるのに、大きなプロジェクトに参画させてもらえないな」とか、
「クライアントは、上司の話にしか耳を傾けず、私の意見はあまり参考にしてくれないな」
なんて、感じたことはありませんか?
自分の実力を社内やクライアントに認めてもらうのは、簡単なことではありませんが、一定以上のスキルがあることを証明するのは簡単です。
公式の認定機関によって認められた「認定」や「資格」を取得することです。
また、普段からAWSを利用しているのであれば、 AWSによって認定される資格があるため、自分に合った認定を取得し、自分のスキルを証明しましょう。
この記事では、以下の内容について徹底的に解説していきます。
- AWS認定制度の種類やそれぞれの難易度は?
- AWS認定ソリューションアーキテクト -アソシエイトとはどんな資格か?
- AWS認定ソリューションアーキテクト -アソシエイトとを取得するとどんなスキルが証明されるか?
- AWS認定ソリューションアーキテクト -アソシエイトの学習方法は?
目次
AWS認定について
AWS認定とは、AWSに関する一定以上のスキルや知識があることを示す、AWS公式の資格となります。
AWS認定は、アーキテクト(設計者向け)/運用(運用者向け)/デベロッパー(開発者向け)/専門知識と大きく4つに分類され、全部で11種類もの認定があります。
出典:AWSパートナーの皆様にAWS認定クラウドプラクティショナー取得をお勧めする理由役割によって受験する種類が変わるため、まずは自分に合ったものを見つけてみましょう。
それでは、専門知識以外の分類となるアーキテクト/運用/デベロッパー(図のグレー部分)について説明します。
アーキテクト/運用/デベロッパー
アーキテクト/運用/デベロッパーは、それぞれ難易度が3つに分かれており、易しい順に基礎コース、アソシエイト、プロフェッショナルとなっております。
難易度
難易度 | 初級「基礎コース」 | 中級「アソシエイト」 | 上級「プロフェッショナル」 |
実務年数 | 0.5年 | 1年 | 2年 |
実務内容 | 基礎的なAWSの活用とクラウド知識のある人材 | AWSを用いた問題解決や、対策実施の経験がある人材 | AWSを用いた設計、運用、トラブルシューティングなどの包括的な経験がある人材 |
実務年数や実務内容に関しては、あくまでも目安であって、これらを満たしていなくても受験することが出来ます
また、アーキテクト/運用/デベロッパーの認定内容は下表となります。
アーキテクト/運用/デベロッパーの認定内容
分類 | アーキテクト | 運用 | デベロッパー |
対象者 | 設計者 | 運用・管理者 | 開発者 |
名称 | AWS認定ソリューションアーキテクト | AWS認定SysOpsアドミニストレーター | AWS認定デベロッパー |
AWS認定内容 | 可用性/コスト効率/高耐障害性/スケーラブルを兼ね備えた分散システムを設計・構築する能力が認定される。 | デプロイや管理、オペレーションにおける技術的な専門知識が認定される。 | アプリケーションの開発や保守に関する専門知識が認定される。 |
AWS認定ソリューションアーキテクトの基本情報
先ほどの表にも示した通り、AWS認定ソリューションアーキテクトは設計者向けの認定となりますが、この認定を取得することで、具体的にどんな人材として認定されるのか解説していきます。
アーキテクトってそもそも何?
「architect(アーキテクト)」は、「建築家」や「設計者」、「企画者」を意味し、0から製図したり、設計図を書く役割の人を指します。
また、ただ図面を書くだけでなく、 企画やクライアントの要求を満たしつつ、性能やコストのバランスを考え、どんな構造にしていくかを考えることがアーキテクトのとても重要な役割 となります。
AWS認定ソリューションアーキテクトとは?
以上のことを踏まえると、AWS認定ソリューションアーキテクトは、 クライアントのビジネス戦略・要求をとらえ、性能やコストなどバランスの取れたAWSサービスを考案し、クライアントの抱える課題を解決する人材となります。
そのため、AWSサービス1つ1つについて熟知しているのはもちろんのこと、
AWSサービスだけではなく、IT業界で必要とされる一般的な知識があることも前提となります。
AWS認定ソリューションアーキテクト -アソシエイトの試験攻略
ここからは、AWS認定ソリューションアーキテクトの中級レベルである「アソシエイト」の試験について紹介していきます。
試験形式
回答形式 | ・多肢選択式(正しい選択肢を1つ選ぶ) ・複数回答式(正しい選択肢を複数選ぶ) |
試験時間 | 130分 |
問題数 | 65問 |
合格点 | 720点以上(1000点満点) |
試験言語 | 日本語/英語/フランス語/ドイツ語/イタリア語/韓国語/ポルトガル語/中国語/スペイン語 |
受験料 | 15,000円(税別) |
回答は選択式であり、おおよそ47問(=65問×72%)正解で合格することが予想されます。
また、1問あたり2分(=130分÷65問)で問題を解く必要があり、問題を早く正確に理解する必要があります。
出題範囲
分野 | 分野(大項目) | 分野(中項目) | 出題の比率 |
第1分野 | 弾力性に優れたアーキテクチャの設計 |
・多層アーキテクチャソリューションを設計する ・高可用性アーキテクチャおよびフォールトトレランとアーキテクチャを設計する ・AWSのサービスを使用したでカップリングメカニズムを設計する ・耐障害性の高い適切なストレージを選択する |
30% |
第2分野 | 高性能アーキテクチャの設計 |
・ワークロードに適した伸縮自在でスケーラブルなコンピューティングソリューションを特定する ・ワークロードに適したハイパフォーマンスでスケーラブルなストレージソリューションを選ぶ ・ワークロードに適したハイパフォーマンスネットワークソリューションを選ぶ ・ワークロードに適したハイパフォーマンスデータベースソリューションを選ぶ |
28% |
第3分野 | セキュアなアプリケーションとアーキテクチャの設計 |
・AWSのリソースへのセキュアなアクセスを設計する ・セキュアなアプリケーション階層を設計する ・適切なデータセキュリティオプションを選択する |
24% |
第4分野 | コストを最適化したアーキテクチャの設計 |
・コスト効率の高いストレージソリューションを特定する ・費用対効果の高いコンピューティングサービスとデータベースサービスを特定する ・コストを最適化したネットワークアーキテクチャを設計する |
18% |
簡単にまとめますと、 高可用性/高性能/セキュア/コストを考慮したアーキテクチャを設計する知識の学習 が必要となります。
広範囲ではありますが、それぞれの分野で使用するAWSサービスについては、一通り触ってみて、どんな時に使うのか、そのサービスのメリット・デメリットなどは把握しておきましょう。
問題サンプル
回答形式が多肢選択式と複数回答式がありますので、それぞれ1問ずつ問題と回答を紹介します。
読んでいただくと分かりますが、少し違和感のある日本語となっており、この独特の雰囲気に慣れる必要があります。
問題)
カスタマーリレーションシップマネジメント(CRM)アプリケーションは、アプリケーションロードバランサーの背後にある複数のアベイラビリティーゾーンのAmazon EC2インスタンスで実行されます。
これらのインスタンスの1に障害が発生した場合、どうなりますか?
- ロードバランサーが、障害が発生したインスタンスへのリクエストの送信を停止する。
- ロードバランサーが、障害が発生したインスタンスを終了する。
- ロードバランサーが、障害が発生したインスタンスを自動的に置換する。
- ロードバランサーが、インスタンスが置換されるまで、504ゲートウェイ タイムアウト エラーを返す。
回答)1
問題)
企業は、複数のアベイラビリティーゾーン全体にわたるVPCで、公開されている3層Webアプリケーションを実行します。
プライベートサブネットで実行されているアプリケーション層のAmazon EC2インスタンスでは、インターネットからソフトウェアパッチをダウンロードする必要があります。
ただし、インターネットから直接インスタンスにアクセスすることはできません。
インスタンスが必要なパッチをダウンロードできるようにするために実行すべきアクションはどれですか?(2つ選択してください。)
- パブリックサブネットでNATゲートウェイを構成する。
- インターネットトラフィック用のNATゲートウェイへのルートがあるカスタムルートテーブルを定義し、それをアプリケーション層のプライベートサブネットに関連づける。
- Elastic IPアドレスをアプリケーションインスタンスに割り当てる。
- インターネットトラフィック用のインターネットゲートウェイへのルートがあるカスタムルートテーブルを定義し、それをアプリケーション層のプライベートサブネットに関連付ける。
- プライベートサブネットでNATインスタンスを設定する。
回答)1、2
学習方法
前述した通り、AWS認定ソリューションアーキテクトは設計者向けの認定となるため、実際にAWSサービスを用いたネットワークの設計について重点的に問われます。
そのため各AWSのサービスについて精通しているのはもちろんのこと、その基盤となるネットワークやサーバーの構築などの基本的な知識があることも前提となります。
その辺を踏まえ、オススメの学習方法3つを紹介していきます。
- ハンズオン学習
- 問題集
- 参考書
1、ハンズオン学習
AWSのサービスは160種類以上もあり、頭の中でそれらを用いてネットワークを構築するのは簡単ではありません。
やはり 実際にサービスに触れ、ネットワーク構築を体感することが、サービスの特徴や使い方を把握する1番の近道 となります。
そこでオススメなのが、ハンズオン学習です。
具体的には、Udemyが提供している教材「これだけOK!AWS認定ソリューションアーキテクト-アソシエイト試験突破講座」です。
こちらは32時間分の動画で20サービス以上のハンズオン学習が可能で、さらに3回分の模擬テストに取り組むことができます。
Udemy内での評価も星4.2となっており、とてもオススメの教材です。
出典:udemy これだけでOK! AWS 認定ソリューションアーキテクト – アソシエイト試験突破講座2、問題集
問題集については、AWS公式サイトにあるWeb問題集を使用しましょう。
先ほどあった問題サンプルのように、AWS認定試験は違和感のある日本語で出題されます。
その日本語に慣れるという点でも、AWS公式のWeb問題集を多くこなすことが重要となります。
またAWSのWeb問題集は、無料のものだと約50問しか解けないため、
プランによって問題数は前後しますが、有料会員に登録して800問以上ある問題を解くのがベストです。
3、参考書
AWS認定ソリューションアーキテクト-アソシエイトに特化した書籍はいくつかありますが、書店で内容を確認し、読みやすく分かりやすいと感じたものを選ぶとよいでしょう。
また、模擬試験が一緒になっている参考書を選ぶのをオススメします。
模擬試験は、自分の弱点を把握するツールであり、今後どの分野を重点的に勉強すべきか明確にしてくれます。
AWSの公式サイトにも模擬試験がありますが、受験費用が2,000円(+税)かかり、参考書と同等の費用がかかってしまいます。
そのため、模擬試験つきの参考書を購入する方がコスパが良く、オススメです。
まとめ
ここまでAWS認定ソリューションアーキテクトについて紹介しました。
AWS認定ソリューションアーキテクトは、AWSサービスを用いて、クライアントの要望をどう実現していくか総合的に考え、判断する能力が必要となります。
ぜひとも自分の手で、さまざまなAWSのサービスに触れましょう。
そして、高可用性/高性能/セキュア/コストを考慮したアーキテクチャを設計する能力を身につけ、合格を掴み取りましょう。